2020.11.21
コロナ危機を乗り越え、力強く成長するためのブランド戦略構築方法

最近弊社では、ブランド戦略の構築のお仕事が多い。コロナによる甚大な経済的被害によって、消費者や企業も本当に何が大切かを考え、まさに価値観の大転換が起きている中であるから当然と言えば当然である。中途半端な存在意義しかない会社や事業はどんどん競争に敗れ、本当に価値がある商品やサービスを提供し、「ならでは」の存在価値があるビジネスのみが繁栄する時代となってきたのである。明確なブランド戦略がある会社で、それが実行できている会社はまさに存在価値がはっきりしている会社ともいえるので、そのような会社になるための相談が多いのは当然と言える。

ざっとここ1か月のブランド戦略構築の仕事や相談内容の例を挙げると以下のようなものがある。

弊社が依頼を受けてCOOを務めている、FINTECHを手掛けるグループ各社のブランド戦略。
コンサルティング先のSPAのアパレル会社。
コンサルティング先の有名グローバルファッションブランド。
特定ライフスタイル業界を狙ったIT会社。
弊社の子会社のエステの会社など。

B2BからB2C企業、物販からサービスまで幅広くブランド戦略の仕事について考えさせられている。

非常にエキサイティングな仕事であるが、共通して感じることはブランド戦略構築をする際の知的チャレンジの高さと実際の実行の難しさである。

まさにブランド戦略を考えるということは、会社の根幹や存在意義などを考えるのとほぼ同義語であり、広範な影響がある。そういった意味で単なるロゴの開発や言葉遊びを行うわけではないので、非常に知的チャレンジの高い仕事である。

弊社でブランド戦略を考える際は、下記のステップで考え、実行していく。

1. 最初に、その事業やブランドのコアやDNAがどこにあるかを分析する。
2. その上でコアのエッセンスを抽出し、それがブランドの主役となるように仮に設定する。
3. その後は、コアエッセンスの市場性を評価し、具体的な顧客のターゲットなどどうなるかなどを考える。
4. コアエッセンスに市場性があることが確認できた時点で、それを明確なブランドコアとして定義する。
5. そこからいわゆるマーケティングの4Pなどに落としていくのだが、その時点でブランドの属性や顧客に与えている便益も明確に定義する。
(ア) ブランドには無形の属性(いわゆる評判や伝統や個性など)と有形の属性(ロゴ、店舗の内装、パッケージング、ウェブサイトなど)が存在する。
(イ) さらに有形及び無形の便益を顧客に与えている。(有形の便益は顧客に提供している商品やサービスことであり、無形の便益は主に顧客がそれらの商品やサービスを使うことで得られる情緒的や感情的な便益のことである。)
6. そしてそれらが定義され、実行されてもブランドは植物のように絶えず栄養素を与え、リフレッシュしていかないと廃れていく。よって、意外性のある施策を打つことで絶えず新鮮に見せつつも、ブランドのコアを強化していく。

少し具体例を交えながら解説したい。

例えば弊社の子会社のエステの会社では元々コルギなどのハンドサービスを得意としており、またエステティシャンの質が非常に均質でサービスのばらつきが少ない。それらの理由を気に入って、弊社は2019年の12月にこの会社を買収したのだが、いい素材はあるもののまだまだ「ブランド化」や「組織化された事業」としては成立しておらず、緊急事態宣言などの影響もあり当初の予定より遅れたが、まさに最近ブランド戦略の定義や事業の組織化などを急ピッチで進めているところである。

(リンク先は以下の通りである。)

その他事業

全てを詳しく解説できるわけではないが、ブランド戦略としては、ハンドサービスや従業員のばらつきの少ない良質なサービス精神がブランドのコアとなりえると判断した。よって、ブランドのコアとしてはコルギに代表される良質なハンドベースのサービスを良質なサービス精神で提供するものとしつつも、創業の銀座の地をベースにしたモダンジャパニーズテイストで絶えずブランドをアップデートしていき、そこに最新のマシンや物販などを組み合わせていくことで収益を極大化することとした。

なお現在店名は「Clear」なのだが、これでは商標を取れないため、また今後銀座のオリジンの活用することでプレミアム感を出していくためにも商標を今後は「Ginza Clear」に改める予定である。

このように具体的に明確にブランド戦略の定義を行ったのはいいが、ちょうど人事制度の改編も行っており、その中でブランド戦略が従業員の行動でも体現されるように評価に使うコンピテンシー(求める行動特性)にも、ブランド戦略の要素を盛り込むこととなった。

ブランドは簡単に言えばお客様やステークホルダーに対する約束であり、それらを規定するためには人事制度にも反映させるのは当然と言えば当然なのだが、まともにブランド戦略の定義を行うとこのように会社の広範な機能や会社の存在意義について考える作業となるため、高い知的タフネスが求められ、たいていの場合ブランド戦略の会議などを行った後、筆者はへとへとになっている。

本日はグローバルコマースイノベーションのブランド戦略構築方法の基本的な概念を解説させていただいた。まだまだこのトピックについて書きたいことは山ほどあるのだが、それはまたの機会とする。

11月21日 グローバルコマースイノベーション マネージングディレクター 平山真也