2021.01.08
コスト削減による収益性向上 ~生産・物流編 ②~

生産・物流のコスト削減のステージは、大きく分けて中国生産段階とASEAN生産段階に分けられ、さらに細かく、下記①~⑥のような段階に分けられる。

前回は、その中のコスト削減ステージ①と②、独自の発注数量では生産、素材のミニマムをクリアーできない段階で打てるコスト削減策について述べてきた。

① 型当たりの生産数量がミニマムに満たないがアップチャージで対応可能なレベルで素材は在庫のあるものでの対応。
② 生産ミニマムロットをクリアーできるが素材はミニマムに届かないがアップチャージで対応可能レベル。
③ 自社のオーダーで生産ミニマム、素材ミニマム共にクリアーできるレベル。
④ 一型当たりのミニマムはクリアーしているが単独での物流の経済ロットを満たしていない。
⑤ 単独で素材、生産ロットをクリアーでき、独自で貨物の経済ロットを満たしている。
⑥ 生産背景(生産国)が複数であり、それぞれの国で⑤の条件を満たしている。

今回は、コスト削減のステージ③と④について述べたいと思う。

ステージ③は、前回述べたステージ①と②の段階で商社など委託先のバックグラウンドを有効活用して得られたコスト削減効果を自立して実現できるステージである。この場合の自立とはアップチャージが発生しないレベルであり、生産効率を大きく損なわないミニマム数量の事である。

この段階では発注数量がミニマムの10倍とか桁違いな数量アップでない限り、CMTでのコスト削減効果を得るのは難しい。その為、このステージでは物流を含めたコスト低減を考えなければならない。

また、ステージ④では、生産ミニマムはクリアーできたが貿易の経済ロットに満たないため、物流費の無駄が生じている段階であり、如何に貨物を集約するかが重要である。

一型あたりのミニマムをクリアーできる規模であれば、複数の型を海外で生産しているレベルだと思われ、それらの生産背景を一つの出港エリアに集約し、出荷のタイミングをひとまとめに調整して出荷する事に注力して通関費や貿易諸経費のコスト削減を目指すべきである。

商社や委託先の貨物との混載でコスト削減効果を得る事も可能だが、最初のステージで将来図を考えずに海外生産を開始した企業も少なくない。ここから次のステージに移行、成長していく上で生産背景の効率的な集約は非常に重要になってくる。このタイミングで今一度、現状を分析して見直してみてはどうだろうか。

自社で取り組むか、商社や委託先を有効活用するか、いずれの方法にしても、出荷のタイミングを調整するためには企画段階からのスケジュール管理が重要になってくる。

商品展開時期から逆算した企画・生産カレンダーを作成し、企画開始から生産完了まで精度の高い企画・生産進捗管理が求められる。

グローバルコマースイノベーション シニアエキスパート 平野稔人