2021.10.04
何故サブスクモデルが流行るのか?

近年、多くの企業が注目のビジネスモデルとしてサブスクリプションを取り入れている。
成功して事業を加速させる企業もあれば、一方で撤退していく企業も現れている。
では、成功するサブスクはどんなサービスを提供しているのか。これから実際の成功事例を見て、サブスクを成功させるための要素を見ていく。
サブスクリプションとは、月額料金等の定額を支払うことにより、契約期間中、商品やサービスの利用が可能となるもののことを言い、動画配信サービスや音楽配信サービスで知られ始め、「Apple Music」や「Spotify」、「Amazonプライム」、「Netflix」など、有名なものも数多くある。
近年は認知度も高くなり、「サブスク」という愛称で定着している。

多くのサブスクがある中、成功しているサービスには以下4つの共通する要素があると考えられる。

1) 具体的なターゲット設定
2) 価値あるサービス品質
3) 継続契約を活かしたサービスの柔軟性
4) 高度な運用力によるフォローアップ

簡単に各要素について以下にまとめる。

具体的なターゲット設定:
まず、狙うべきターゲット層を明確にイメージすることが重要となる。土台となるターゲットを明確にすることで、適格なサービスを提案でき、それが結果として消費者の満足につながる。ここをどう設定するかが成否を分ける最も重要なポイントの一つとなる。

価値あるサービス品質:
次に、安さ以外の価値・体験を提供し、「依存ユーザー」を獲得していくことが大切である。
ターゲット層に合った「価値」を提供することで、サービスを利用し続ける理由を作りだせる。ターゲット層が抱える問題がどれだけ的確かが勝負となる。

継続契約を活かしたサービスの柔軟性:
顧客に継続的に利用してもらうにはストレスのない柔軟なサービスが必要である。サブスクの特徴である継続する契約内容を利した武器の作り方が必要。例えば利用し放題のサービスは、上限を気にしながら使うことがストレスだった利用者からすると高い価値となる。
一方で経済合理性を損なわないために継続契約だから実現できるサービス設定が望ましい(例:利用し放題だが期間限定を設ける、等)。

高度な運用力によるフォローアップ:
サブスクサービスでは解約させないことが肝となる。
そのため、細かなフォローアップや、データ分析に伴う細かな機能のアップデートはサービス運用において欠かせない要素となる。

これまでを見て頂くと分かるよう、サブスクは流行ではあるが、流行らせるには簡単なサービスではないことが分かるだろう。
一方でなぜ今このモデルが注目されているかについて、考察したい。

経営管理をシンプルな構造とできることが最も大きな要因といえる。
具体的には以下のポイントを強化すれば成功へと繋がることが流行る理由といえるのではないか。

1)商品性を追求しやすい
2)収益モデルがシンプル
3)損益分岐点が分かりやすく顧客獲得数を追いかけることで成長に繋がる

従来、個別対応に追われサービスの連続的な進化へと注力できず競争力を失う企業が多く見られた。サブスクでは商品は基本的に一つ。それを全体最適の目線で追及することでよいサービスができるのは商品開発として望ましい体制にあると言える。

また、収益モデルも顧客の支払い能力に対して十分なサービス提供ができていることを前提に設定すればシンプルに設計できる。複雑な見積もり業務から解放され、標準プライスでサービス提供できることも特にB2C営業の目線では非常にやりやすい。

収益モデルがシンプルなことに連動し、損益分岐点が分かりやすく営業マンとしては獲得数を追いかけるシンプルな営業活動に特化できる。でかい顧客だからパワーをかけるなどの必要もなく営業効率で仕事を進められる点もメリットといえる。見向きもしない顧客を過度に追いかける必要がなくなるということである。

これらが日本においてもサブスクが流行っている、そこで一度うまみを得た企業が何としても抜け出したくない理由と言えよう。
シンプルに表現したものの、サービスを開発する際には並大抵の努力では成功に繋がらない。だからこそ成功モデルを創り出すことに価値がある。
日本におけるサブスクトレンドはまだまだ継続すると考えられ、様々なビジネスを考える際の有望な選択肢となっていくことは間違いないと言えるだろう。

GCIエグゼクティブエキスパート 小林弘樹