企業の外国人幹部、30年に2倍の20万人 政府が新目標
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA179AB0X10C21A6000000/?unlock=1
これまで長らくブルーカラーの外国人採用が目立ってきたが近年では外国人を重役として迎える企業が増えてきている。
この記事もその顕著な例と言えるだろう。
その理由は各社様々ではあるが、本格的なグローバル競争力の強化、グローバル基準の経営管理能力の浸透、等、「グローバル化」がキーワードにあるのは間違いないと言える。
実際に製造業を中心に、外需で成立している日本企業は数多い中、逆にこれまで進んでこなかった方が不思議でもある。
ではなぜそれが進んでこなかったというと、些末な話だが言語の壁があったこと、終身雇用制度や年齢給などといった日本独自の制度が柔軟な雇用体系を阻害していたことがある。
前者は楽天、ファーストリテイリング、資生堂など、名だたる企業が英語の公用語を導入する背景には、雇用のグローバル化を課題視した顕著な例だ。
特にファーストリテイリングは新卒の8割が外国籍といった顕著な成果も出している。
一昔前では相当ハードルが高かったことがなぜできるようになったかというと、一言で英語対応したからとは言えない。
戦略、組織・人事制度改革、公用語の変更、さらに戦略的採用活動と連動した取り組みを進めていった結果と言える。
外国人と働いたことがある方であれば優秀だなとか、違うな、と感じたことがある方は多い。
それはなぜかと言えば、グローバル基準の仕事の仕方が身についているからだ。
成果主義、KPI管理、ジョブ型人事制度、など、日本が伝統的に進めてきた年齢給、ジェネラリスト育成、といった領域とは一線を画す。
いわば、日本企業にどっぷりつかっていてグローバル人材が育ちようがないと言える。
そうした中、戦略の遂行にはグローバル化が必要と感じた企業が組織作り、制度作りにメスを入れ、徐々に対応を進め成果が出てきた。
ただ、それだけでグローバル競争力が上がるのかというと、そうではない。
上記の対応はあくまで日本の企業に優秀な外国人を採用する取り組みの一例に過ぎない。
本格的なグローバル化を進める上では、現地で日本の本社の思いを強く汲み取り自走できるマネジメント層が必要となる。
日本人を送り込んでガバナンスを図ろうとしますが多くの企業が失敗に終わっている。
私はこうした現地でのマネジメントをきっちり進められる人材の採用・育成が今後の日本企業における最大の課題の一つになると感じている。
日本企業は伝統的に日本のやり方を海外に展開するのが得意だ。一方で現地独自の手法をカスタマイズするのが不得意ともいわれている。
欧米企業は現地に人を送り現地の人との深い関係性を構築し一体となったマネジメントスタイルを推進するのが得意だ。
それは重要性を知っているのと、戦略の立て方そのものが市場と環境を分析することを起点とする行動原理に則っているからと言える。
日本企業は現地の採用もついつい日本基準で見てしまう傾向がある。
ご存じの通り、日本企業の経営層の報酬水準はグローバルと比べると非常に低い水準にある。
参考:
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20190624.html
こういった中、グローバル競争を本格的に進めようとした際、そこでの苦しみが本質的な苦しみになると言える。
そこで必要になる施策は状況に応じて様々な内容が考えられる。
海外独自の組織作りや人事制度、日本の制度改革を大胆に進めてしまう、はたまた業務提携、企業買収など。
現地化やグローバル化への対応のみではなく抜本的なグループ全体での人事制度の構築も必要だが、まずは特別枠の人事制度やバーチャル人事制度など、比較的早期に進められる施策から進めていくことも大事になる。
グローバルコマースイノベーション エグゼクティブエキスパート 小林弘樹