テレワークで360度評価に 個人の能力わかりやすく
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62128520R30C20A7TY5000/?unlock=1
部下の手柄奪う上司は滅ぶ? 採用増える360度評価
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD0711C0X00C21A4000000/
近年、テレワークやジョブ型人事制度の導入に伴い360度評価を重視する企業が増えている。
上司による一方的な評価を避けて公平な評価を行うことが主な狙いとして挙げられている。
これら取り組みが生産性の向上においてはどれだけ寄与しているかは導入企業の狙い次第といえるだろう。
元来、日本のマネジメント論においては優秀なプレイヤーが必ずしも優秀な管理職になるとは言えないと言われてきた。
それはなぜだろうか、自分がやるのと、人にやってもらうのは大きく違うからだ。
特にホワイトカラーの仕事においては唯一無二の業務マニュアルを定義しづらい業務も多い。
そうしたケースではより管理職としてのマネジメント力が問われるものだ。
典型的なダメな例として、俺がやるタイプと、ぶん投げるタイプがある。
前者は言わずと知れたプレイングマネージャー型で、昔はこういった人たちがよいと重宝されてきた背景がある。しかし、よく言う課長どまりの人材の典型例とも言え、少人数マネジメントにおいてのみ発揮される強みと言える。
実際に課長から部長に上がれない人の課題の典型例がこうしたケースにある。
自分が手を動かさずに完遂する仕事の経験がないといった課長も多い。
こうした人がさらに上に行き多くの人数をマネジメントするのは難しいのだ。
後者のぶん投げるタイプ、こちらは部下からも強く敬遠されがちだが、巧みに部下を使い慣れている上司や、部下の責任にするのを容認する組織があるためはびこっている。
こうした人はうまく手柄を自分のものとして出世していくこともあるが、どこかでぼろが出て実力不足が露呈するケースがある。具体例が言えない致命的な弱みがあるからだ。
何故こうした人材が出ているかというと、全体像を設計できない、人が動くメカニズムを推測できない、進捗管理を丁寧にできない、といった弱みがあるからといえる。
全体像が設計できないと、仕事の具体的な依頼ができない。多くの人が方向を示すことは出来ても達成イメージを伝えられないのがこの顕著な例だ。
また、方向を示すことは非常に簡単なだけに一見指示出しができているように上司が思ってしまうことも問題といえる。
人が動くメカニズムを推測できないと、どこで注意すべきか推測できない。そのため、指示も抑揚がなく注力点が定かでないものとなってしまう。要は具体的な指示に落ちないのだ。
そうしておくとどうなるかというと、部下はやたら細かく確認したがるか、細かく確認しづらくなってしまう。
何が難しいか説明されていないから勝手なバイアスをかけてしまうからだ。
進捗管理を丁寧にできないことも致命傷だ。放っておいてうまくいくのは部下が相当優秀か、相当なれているか。しかし、相当慣れていても失敗はよく発生するものだ。
結果として上司は進捗管理を能動的に行うのが責務となる。
こうした問題は散見されるのだがなかなか改善されない。それは何故なのか?
非常にシンプルな話で、そうしたマネジメント論のトレーニングがなされていないからだ。
プレイヤーとしては自分なりを追及して成功するケースがあるが、マネジメントとして成功するにはオリジナリティを極めるアプローチと全く異なる。
万人に通用しやすいマネジメント手法は過去から様々な学者が研究成果として導き出したお作法がある。
それらをまずは身に着けることが大事だ。
全体像の設計方法やメカニズムの詳細分析も、様々な方法論がある。
それらを引き出しとして部下に合わせてカスタマイズする、自分がやりやすいようにカスタマイズする、といったことが必要となる。
グローバルコマースイノベーション エグゼクティブエキスパート 小林弘樹